2013年09月13日

64



64(ロクヨン)


けっこうな長編。本を手に取ったときのずっしり感が快感。

実用書の場合は、あまりずっしり感があると萎えるが、小説
なら快感だったりするんですよねえ。

横山さんの小説は実にひさしぶりに。といっても震度0しか
読んだことはない。記憶が確かならば。

この64は結構あちこち広告出てたし評判よかったので
読みたかったもののひとつ。



舞台となるD県警管内で起き、いまだ犯人逮捕に至っていない
未解決の誘拐殺人事件。

日時がわずか7日間しかなかった昭和64年の間に起きたため、
ロクヨンと呼んでいる。

そのD県警で、刑事部から警務部へ、
しかも記者クラブ担当の広報係という
本人からすれば左遷にも似た部署へ
異動させられた三上。

問題山積みの対記者クラブ、かつての刑事部との関係、
警察OB、同僚、無能な上司に、尊敬すべき元上司、
エリートコースを進む同僚、家族の問題。
そして、D県警にとってのどに刺さった骨のような
未解決事件である64をめぐる、いまさらながらの
警察庁の動きの意味。


それにしても、実際の警察でも、
こんなふうに刑事部と警務部ってのは
あまり仲良くないんでしょうか。

一般企業の、内勤と営業みたいなもの、
いや、それ以上な気がしますが。


かなりのボリュームだけど、読み応えありました。
前半の出だしは、よくある警察内部の対立の話かな、
と思ったけれど、どんどん引き込まれ・・・。

家庭での葛藤、仕事での自分の立ち位置
・・・丁寧で緻密なストーリーです。




例によって、印象的な部分の引用


家庭などなくても生きられるが、組織の中で居場所を失ったら生きていけない。


すべての道を断たれて、そうなって初めて見える道もある


眼前の現実を見つめずして、次の現実を目にすることはできない



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